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「カンナガラのケモノ」のレビュー&感想【義弓くー】

カンナガラ4

みなさん、こんにちは。ショート100の人、義弓くーです。
メンバー作品紹介していこう作戦ということで、私も先日一作プレイをしました!

タイトル:「カンナガラのケモノ」
制作  :いねむりスフィンクス
ショート100メンバー_直弥さん

☆ふりーむ!DLはこちら☆



伝奇風&少年漫画的ノリなお話という紹介文に魅かれてこの作品をプレイしました。また、直弥さんの自己紹介ページに記載されていたのもきっかけですね。
私自身、「お化け×アクション」なお話を書いている人なのので、そういうのに興味津々なのです(^^)/


■簡易あらすじ
中学生陰陽師の主人公「城戸信次郎」と幼馴染のヒロイン「白金キョウ」運命を描く物語。
キョウは幼い日に、人造精霊「白虎」に取り憑かれ、命のタイムリミットが迫っています。
それを阻止するために信次郎は、ある陰陽術を習得する修行に打ち込んでいる日々を送っていますが、ある日彼らに白虎を巡る大事件が襲い掛かる……。

カンナガラ1


■バトル展開がとにかく熱いです!
“陰陽師”という言葉は聞いたことはあってもそれ以上はよく分からない……そんな状態でプレイを開始した本作ですが、十分楽しむことが出来ました。

カンナガラ3


主人公は様々な怪異を呪術や仲間との協力を駆使して祓ってゆきます。そのため、戦闘シーンへのなだれ込みや力の入れようが強く、文章上でのスピード感ある駆け引き展開は勿論ですが、画面の見せ方も上手かったです。感覚としてはRPG風の戦闘画面を展開させつつ、エフェクトと効果音で盛り上げてくれます。

また、主人公の周りに登場するキャラクター達が、ちゃんとそれぞれの個性や役回りをもっていて、物語に奥行きを与えてくれます。主人公の師匠や、不死身の青年、同級生など、意外なところでキャラ同士が繋がりを持っていたりします。

カンナガラ2


この物語では「精霊」が大きな役割を担っています。主人公サイドがそれを使役することもあれば、敵対者がそれを行使します。「人VS人」「人VS精霊」「精霊VS精霊」などのバリエーションある駆け引きは読んでいて楽しく「どうやって対処するんだろう」とワクワクしながら読み進められました。
特に、ラストの白虎戦は、相手が圧倒的に強すぎて主人公が歯が立たず、絶望落ちするのですが、そこからの切返しはメチャメチャ熱いです!


■その一方で、気になる点というのもありました
この物語、三人称視点で文章展開しているのですが、終盤になるまで主人公が画面に姿を見せません。それがどうにも一人称感と重なって、気になりました。

また、陰陽師設定もあり、ベースとなる知識が無いと理解が難しいかなと感じました。また設定解説の文章自体もやや硬めなのでこの辺りがもっとスムーズであれば私的には良かったかなと思います。
例えば、ノベルゲームなので、図やイラストを使って、ビジュアルで文章の補助をするなどあっても良かったかもしれません。属性の関連図とかですね。


■そして、全てが収束するラストへ
ある種のバッドエンドとも捉えられるのですが、主人公が陰陽師という特殊な家柄な設定上、これが逆転して、ある種のグッドエンドとして成立可能なのかもしれません。この表現だと「?」となりますが、この辺りは、是非プレイして確かめてみてください。

カンナガラ5


そして、エンディング後の日常を描いたエピローグが良かったです。ほんの少しの日常シーンなのですが、それが示す「成長と救い」が大きいと感じました。

…といった具合に、私なりの感想を書かせて頂きました。
「熱いバトル、駆け引き」が特に魅力の作品です。そんな作品を求めている方、是非プレイしてみてくださいね!

そして、おまけ編も忘れずにプレイをね!

全参加者のレビュー

こんにちは、NaGISAです。

この企画に参加する全員の方々のレビューが書けました。私のレビューブログ「NaGISA net」にアップしてありますが、こちらでもご紹介します。

・義弓くーさん
 ななしのおろち 春
 ななしのおろち 夏
 ななしのおろち 秋
 十三階段の花子さん
 十三階段の花子さん2
 メアリ☆クリスマス!
 オバケ×クリスマス!

・九州壇氏さん
 僕の愛する三匹
 吟遊詩人
 年末年始の恋模様
 乙女心と夏の空
 セイシュン真っ盛り!
 君と再会した日
 眠れない夜に

・オザキショウゴさん
 動脈と静脈
 ダークハーフ
 脳と手の仲介者は心でなくてはならない
 天国の回廊

・CILさん
 クロス×ヒート!
 灼夏幻夜

・直弥さん
 星の砂時計
 冬の最涯
 ゆきんこ-冬の幼馴染-
 モカブレンドをブラックで。
 サイコパンプス
 野に咲く蓮華を手にとって
 ラムジュート

・ねこのさん
 Sake of you~始まりの季節から
 なつのおわりに
 ヒトナツの夢
 ほたるゆき -SnowSky Edition-
 ありすとーく
 ハッピーエンドに花を添えて

・さつきちさん
 妹のコミュ力が皆無な件。
 ××と過ごすクリスマス。
 イモウト及第点

・八久斗さん
 ヒツゼンセイ
 ミトコンドリアにかんずりを
 カキフライにタルタルを
 オムライスにケチャップを

・あほちゃんさん
 温かく、暖かい冬、なのか
 ひとでなく、ひとでなし

・あいはらまひろさん
 Beyond the summer
 Begin with you!
 夏色のコントラスト
 ちいさな春のラプソディ
 今宵サンタは街角で。
 ウソと手紙と名探偵
 Space Freeters! ~天駆ける宇宙の乙女たち~

・神無月ミズハさん
 贖罪と命

・原すばるさん
 僕らのピーマン

・アクアポラリスさん
 さよなら、リアル
 FeARy-電子妖精の囁き-
 五月雨の記憶
 たまゆらの夜

・ヒビキソラさん
 SOLAR POWER
 ポックリが鳴った夏
 SOLAR MEMORY

・ringotoriさん
 透明な街
 荒野の復讐者 Grit in wasteland

・合作(私、あいはらまひろさん、八久斗さん)
 エイト・ストーリーズ

・合作(私、義弓くーさん、オザキショウゴさん、あほちゃんさん、ヒビキソラさん)
 ななつぼし

制作者の過去作品を読んでみて、作者さんなりの作風に思いを致すのもよし、意外な作風の違いを味わうのもよし。よろしければご参考にどうぞ。

レビュー「眠れない夜に」

2日連続になりますが、鉄は熱いうちにと言いますし、レビュー2作品目行ってみます。九州壇氏さんの「眠れない夜に」。作品の存在自体はずっと知っていましたが、やっとプレイできました。


眠れない夜に

眠れない夜に準推薦
製作者/九州壇氏(ダウンロード
ジャンル/幼馴染三角関係恋愛ノベル
プレイ時間/1時間15分

大学生の淳は、幼馴染の茜と、夜のドライブに出かけていた。以前と様子が変わってしまっても、茜は茜だ。そう言い聞かせながら、車を走らせる淳。時折昔の事を思い出しながら、車は夜の都市高速道路を走り抜けて行くが、眠れない夜は、まだ長かった。中盤以降の展開、巧妙な伏線から目が離せない、青春ノベル。

ここが○

・些細なところまで巡らされた巧妙な伏線。
・中盤以降の意外な展開。
・リアリティのある描写。

ここが×

・なんだかすっきりしない感のあるラスト。
・所々ウェイトが多いのが少し気になる。
・演出にもう少し凝ってもいいかも。

■目覚めの朝は君と二人で

この作者さんの作品をレビューするのは、これで7本目です。初期の頃から比べると、文章にしても、物語の作り方にしても、非常な進化が感じられます。それでいて、この作者さんならではの味は今作でも健在です。この作品は、いわゆる「幼馴染もの」ですが、切り口がちょっと変わっています。

切り口が変わっていると言っても、プロット自体がそこまで斬新という訳ではありません。ネタバレになるので書けませんが、今作の根幹を占めるシナリオ作りの手法は、過去の他作品にも散見されます。

眠れない夜にしかしこの作品は、巧妙な伏線の張り方や、キャラクターの心情描写の繊細さで、プレイ時間以上のボリュームを感じさせてくれる一昨となっています。実はこの作品、タイトル通り「一晩」の物語なんですよね。しかし、過去回想の入れ方・絡め方が上手く、実際のシナリオ量以上のボリュームを感じさせてくれます。

また、リアリティのある描写が上手いです。茜の病気についての描写もですが、心情描写にも妙な現実感があります。もちろん、描写の全てにリアリティが高い訳ではなく、ちょっと矛盾を感じさせるような箇所がなくもないんですが、全般にしっかり描かれているため、そこがあまり気になりません。

特にメインのトリック(?)は、手法自体は使い古されたものながら、淳が自分の願望を込めて現状を曲げて理解した、という設定は、説得力がある上に、前半にあまりヒント(?)がなくても唐突感がないという、非常に卓越した手法だったと思います。この辺り、前半の些細な描写も伏線になっていて、感心する事しきりでした。

構成も上手く、登場人物が基本的に3人しかいないのに、特に後半は一気に読ませてくれます。ラスト近くの、茜との最後のドライブシーンは、屈指の名シーンでしょう。描写が全般にリアリティがあるので、あのシーンにも非常に現実感があって、感動させてくれます。

また、茜と香澄の姉妹のキャラクター分け、二人の微妙な関係の描写がとても良いです。姉へのコンプレックスから素直になれない香澄。妹を大事に思いながら一歩踏み出せない茜。いい姉妹です。二人の絆の描写が後半の肝となりますが、シナリオ自体もさる事ながら、過去回想含め、二人の関係の変化、絆の描写がとても素晴らしい。主人公の淳が、影が薄く感じるほどです(笑)。

ただ、終わり方が少し釈然としない感があります。私の好みとしては、オチはきっちり決着がつく方が好みなのです。ラストで、屋台のおでん屋のちょっとおちゃらけた日常描写が入ってきたので、余計そう感じたのかも知れませんが(全部解決したならともかく、結局メインの事件は解決してないしなあ。でもあそこの描写自体は好きです)。

そこは読み手に委ねようという事なのかも知れませんが、せっかくなのでもう一歩先まで踏み込んで欲しかった気がしなくもありません。今回の物語の原因が、何ら動いていないので、その意味ではあと一歩足りない感じを覚えました。もっとも、この物語においてそんな事を言うのは、無粋かも知れませんが……。

それでも、作者さんのこだわりが随所に感じられる一本でした。プレイ時間は1時間15分〜30分くらいで選択肢もありませんが、読後は時間以上の満足感を感じさせてくれます。ツールはNScripterで、デフォルトのままですがプレイにストレスはありません。私は休日の真昼にプレイしてしまいましたが(笑)、タイトル通り眠れない夜にプレイする事をお勧めします。

レビュー「妹のコミュ力が皆無な件。」

こんにちは。NaGISAです。この度、この場をお借りして、少しばかりノベルゲームのレビューを書いてみる事にしました。まずは、今回の企画参加者の皆さんの作品を、いくつかレビューしてみようと思います。

レビューを通じて、企画に興味を持ってくださる方が少しでも増えれば、幸いです。以前「NaGISA net」というサイトでレビューを書いていたので、その形式のまま書いてみます。



妹のコミュ力が皆無な件。

妹のコミュ力が皆無な件。準推薦
製作者/さつき晴れ(ダウンロード
ジャンル/妹更生奮闘ノベル
プレイ時間/20分

家入こもりは、超がつくほどの人見知り。今日は高校の入学式だというのに、学校に行こうともしない。見かねた兄の明人は、無理やりこもりを学校に引っ張っていき、何とか友人ができるように、陰ながら奮闘するのだが、当のこもりはまるでやる気なし。果たしてこもりに無事友達ができ、楽しい高校生活を送れるのだろうか?

ここが○

・脇キャラにもちゃんとしっかりした役割がある。特に優子はいいキャラ。
・主人公である兄の頑張りに共感できる。
・ちゃんとこもりが自分の力で成長する。

ここが×

・こもりの性格は、ちょっと極端過ぎるかも。
・主人公にも、ちょっとはいい目を見せてあげても良かったかも。
・タイトルにひねりがあっても良かったかも。

■頑張るお兄さんに花束を

いわゆる「妹もの」作品っていっぱいありますが、バランスよく作るのはなかなか難しいものです。変に恋愛方向へ振ると噓っぽくなりますし、かと言って淡々と語っても面白みに欠けます。

その点この作品は、まず恋愛方向へは一切振っていない(少しだけ、こもりが兄への感情を吐露するシーンもありますが、あれくらいなら十分許容範囲でしょう)のですが、それでいて退屈な話にはなっていません。こもりの、少し極端とも言えるキャラクター付けは最初は面食らうと思いますが、そのキャラクターが物語の重要なキーでもあります。

妹のコミュ力が皆無な件。こもりがちょっと極端なキャラであるのに対し、主人公である兄の明人を始め、他のキャラクターはしっかりした常識人の性格付けである上、各キャラクターの配置バランスがとてもいいと思います。変に受けを狙った、マンガ的な言動がないので、キャラクターにリアリティがあるのが好印象です。

特に、サブキャラではあるものの重要な役どころを担う優子は、とてもいいキャラクターです。この作品は選択肢一つで二種類のエンドに分岐するのですが、バッドエンドの方で優子が明人に言い放つ言葉は、プレイヤーの胸にもぐさりと突き刺さるかも知れません。本当に大事な事には、自分で向かい合わないといけないという事を、彼女は教えてくれます。

そしてグッドエンド。一見問題から逃げてしまったかに見えるこもりが、今度は優子のために勇気を出す場面が、この作品の一番の見どころです。ちゃんとこもりが、自分の力で問題を解決し、人間的にも一歩成長するところを見せてくれます。短編ですが、非常に構成の優れた作品だと思います。

結局、こもりにしても優子にしても、二人を本当の友達として結びつけたのは、二人の「自分がどう思われるかを気にせず、相手の事をまず思う心」だったように思うのです(主人公である明人もそうですね)。こういう友情は、きっと長続きするはずです。友情ドラマとして、短編でこれだけのメッセージ性を持たせ、かつエンターテインメント性も犠牲にしていないというのは、大した筆力です。

この物語は、見た目は萌え系のようにも見えますが、変にそういう方面に色気を出さなかったことが、優れたストーリー構成となった一因のように思えます。この作者さん、これが処女作との事なのですが、一作目でこれだけのものを書けるのですから、これ以降の作品も多いに楽しみですね。

主人公は徹頭徹尾妹を手助けする役目に終始するんですが、主人公にも少しいい目を見せてあげても良かったようにも思えます。ただ、これだけの短編ですから、そこまで盛り込むと話の焦点が定まらなくなった恐れがあるような気もしますし、これでいいのかも知れませんね。

ツールはティラノスクリプト。プレイ時間は20分から30分。選択肢は一箇所だけで、その選択肢でグッドエンドとバッドエンドに分岐します。後からバッドエンドを見てしまうとあまり収まりが良くないので、先にバッドエンドを見る事をお勧めします(恐らくどちらがバッドに行く選択肢なのかは、見ればすぐ分かります)。短編としては非常によくできた構成の秀作です。是非プレイしてみてください。
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